第60代 理事長
はじめに
私が2011年に庄原青年会議所の門をたたい て12年。その間、全国各地で毎年のように発 生する災害、新型コロナウイルスによる全世界 的な行動制限、ロシアによるウクライナ侵攻な ど、予想もしなかった事態が発生し、目まぐる しく世界中そして我々を取り巻く環境は変わっ てきました。不測の事態が起こるその度に、先 輩方の常に前を向き率先して行動する姿や決し て諦めない姿、そして誰かのために動く姿を 見てきました。また、20名前後の会員数なが ら、毎年庄原よいとこ祭の主要メンバーを輩出 し、近年では広島ブロック大会や広島ブロック ゴルフ大会、中国地区球技大会と様々なブロッ クや地区の事業の主管を務めており、いずれも 関係者内では高い評価を得ていると自負してお りますが、20名前後のLOMでありながら、高 いレベルの事業を提供できるのはなぜでしょう か。我々の誇る庄原青年会議所は、厳しくもあ り優しくもあり、大きな事業があるときには会 員それぞれが率先して行動することができ、組 織として一つの方向に向かって進んでいける団 体です。会員全員が力を合わせ、率先して行動 することができる。だからこそ良い事業を行う ことができるのであり、各会員、これには自信 を持ち、近年入会した会員はこれをしっかり体 験していただきたい。本年度はこういった事業 の主管はないが、手を抜かずにLOMの事業を行うことで会員の育成に力を入れていきたい。 「我が選んだ道に悔いはなし」 これは広島東洋カープOBの大野豊さんが現 役を引退された際の言葉です。この言葉を恥じ ることなく口にするには、常にその時の全力を 尽くす。その時考えられるベストの選択をす る。己の信念を貫き通す。といった様々な背景 があると思いますが、何より自主性がこの言葉 の核心だと思います。自分で選択した道だから 後悔はしない。我が選んだ道に悔いはなし、と 恥じることなく言えるために率先して行動する 自主性と何事にも全力で取り組む意識を持って、 日々の生活・JCでの活動に取り組みましょう。 何かのために何かを成し遂げるには、目の前 の壁が高ければ高いほど生半可な覚悟では成し 遂げることはできません。庄原青年会議所の第 60代理事長を引き受けるにあたって、今一度 先輩方の姿を思い出し、60年という歴史の重 みを感じるとともに、未来に向かって庄原青年 会議所が確かに進歩するために、確固たる信念 をもって取り組んでいく所存です。
組織の確かな進歩のための会員拡大と人財育成
組織の確かな進歩のための会員拡大と人財育成> 私が2011年に庄原青年会議所に入会し、は や12年。その間に卒業された先輩方は28名。 本当に先輩ばかり増えるな・・・。と思ってい ました。2022年に4名卒業、2023年に4名卒 業、2024年に4名卒業予定、という状況の中、 2024年1月現在の正会員数は20名です。そもそも現代日本の人口減少社会において全国的な会員減少は言わば必然の時代の流れとも言える 状況で、この庄原という地域で何とか20名以上の会員数を維持できていることは近年の継続的な会員拡大の成果といえます。 昨年度は6名の新入会員を迎え入れることができましたが、当然、次の課題も見えてきています。会員構成に目を向けると、2021年度以降に入会した会員は15名。2021年以降に半数 以上の顔ぶれが変わったことになります。庄原青年会議所が地域で輝く団体であり続け、組織 としての力を維持向上するためには、会員に多くの経験を与え、リーダーシップの開発と成長の機会を提供し、会員個々の意識や能力を向上することが不可欠です。このような経験を通じて庄原青年会議所に誇りを持ち、自ら率先して拡大活動が行える人財を一人でも多く育成していくことが庄原青年会議所をさらに一つ上のス テージに押し上げてくれるものと確信していま す。会員一丸となって会員拡大を行うこと、ま たその土壌である人材育成に力を入れていきま しょう。
核心をついた地域課題へのアプローチ
私が庄原青年会議所に入会した2011年末時 点の庄原市の人口は39,553人でしたが、2023 年7月末時点の庄原市の人口は32,242人であり、 約7,000人減少しています。さらに2040年に は約24,000人になると予測されています。 庄原という地域の現状として、人口減少・少 子化高齢化という問題は「社会の課題を解決す ることで持続可能な地域を創るため」には切っ ても切り離せないのではないでしょうか。私も 地域の青年経済人として店舗や企業の誘致など の不動産開発に取り組んでいますが、まちの賑 わいづくりという点では身をもって非常に困難 が多いことを感じています。日本が資本主義社 会である以上、大手であればあるほど企業の進 出や店舗の出店には厳しい基準が設けられるか らです。現実として、現在の庄原市は、企業に とって、特に出店基準が人口で決められる店舗 の出店においては採算性のない魅力のないまち になってしまっています。人口減少の激しい庄 原という地域で、現状を打破し、地域のために 何ができるか、何をすべきか、持続可能な地域 を創るために社会の課題を解決することとは何 か、今一度、青年経済人の視点で深く考えてみる必要があるのではないでしょうか。小さなこ とでも構いません。地域の課題の核心をついた 事業を行っていきたい。我々青年だからこそで きること、我々青年でないとできないことが必 ずあるはずです。
輝く個性と確かな愛郷心を育む
輝く個性と確かな愛郷心を育む> 40歳で卒業という20代、30代の会員が占め る青年会議所は、そのまま子育て世代により構 成されているものとも言えます。私を含め多く の会員が子育てに奮闘中ですが、私たちが育っ てきた環境とは大きく変化しています。特にイ ンターネットの普及により誰もが簡単に情報を 手に入れることができるようになってきました。効率という面では非常に効果的であり、経済や日々の生活においてなくてはならない手段であることは間違いありません。しかし、その反 面、子供たちの健全な育成という点では少し弊 害もあるのではないかと言われています。家族 との会話が減少傾向だという調査結果もありま すし、すぐに答えを得ることができるので深く 考える力が育ちません。JC宣言文には「輝く 個性が調和する未来を描き」とあり、個性とは、 その人の性格や育ってきた環境により育まれた 個人の特徴や志向性と表現することができます が、一番身近な家族との会話が減少し、深く考 える力が成長しないということは、その人の個 性が育まれにくくなることに繋がるのではない でしょうか。 庄原青年会議所の会員はほとんどが庄原で生 まれ育った人、または庄原に縁のある人たちで すが、心の底から地域に誇りや愛着をもってい ると言えるでしょうか。我々子育て世代が地域 に誇りや愛着を持たなければ、次世代を担う子 供たちが自分の生まれ育った地域への誇りや愛 着を持てるはずがありません。我々自身が地域 への様々な活動を通じて誇りや愛着を深め、そ れを次世代に伝えていくことが愛郷心という一 つの個性を育むことにつながっていくはずです。
青年会議所の地域での存在意義の革進
庄原青年会議所は2025年11月14日に創立60周年を迎えます。これまで多くの先輩方が様々な困難に打ち勝ち、60年という歴史を紡いでこられたことに対して敬意を表するととも に、これから70年、100年という更なる歴史を創っていくのは我々以降の世代だということを忘れてはなりません。青年会議所の事業は背景・目的・手法という三段構成となっています。すべての時系列を歴史(過去)、現在、未来と考えるならば、背景・目的・手法という青年会議所の事業構築の考え方は、背景は歴史(過去)、目的は未来、現在は手段でしょうか。毎年、理事長が変わり、組織が変わる単年度制の青年会議所においては、その年その年で直面する課題が違い、その年その年で課題解決に向け たアプローチ方法や方針が異なります。我々には、こうして積み上げられた歴史(過去)を活かし、未来という目的に向かって現在で最善を つくすことしかできません。その時考えられる 最善を選択し、現在の全力を尽くすことが未来 への投資ではないでしょうか。何事にも全力で 取り組み、青年会議所活動を通じて自己成長し、 地域へ影響を与え続ける団体であり続けましょう。 近年では地域での存在意義を考え、青年会議所の運動・活動の地域への認知度を上げようという取り組みを行ってきました。そもそも一 般社団法人というのは人の集まりであり、人が組織を構成しています。個性あふれる会員たちは青年会議所活動以外にも仕事で、地域で様々な貢献をしています。素晴らしい個の魅力を組織の魅力へと革進していきましょう。
終わりに
近年、青年会議所もJCI Mission、JCI Vision、JC宣言文の改定を行い、目まぐるしく変化する時代に対応してきました。個人的には、JC 宣言文の「輝く個性が調和する未来を描き社会の課題を解決することで持続可能な地域を創ること」に取り組むことが「リーダーシップの開発と成長の機会」につながり、それがさらに「若きリーダーの国際的ネットワークを先導する組織となる」こと、および「世界平和」へとつながっていくと解釈しています。地域や青少年育成の青年会議所活動を通じて自己成長し、 青年会議所での経験を地域に還元できるよう心の片隅に置いておいてください。私もこれまで、時には失敗し、時には仲間と笑いあい、こ の大人の学び舎で様々な経験をさせていただきました。強く感じるのは、自己成長とは手を抜かずにその時の全力を尽くして初めて得られるものであるということです。80の力で他人の100%並みにできてしまう人もいるとは思いますが、その80%は本当の意味での自己成長にはつながりません。青年会議所には失敗が許される、という格言がありますが、これは周りに仲間がいるから成立する言葉だと思います。その時の全力を尽くしたうえで失敗した場合には助けてくれる仲間がいる。青年会議所のよいところを実感できるような一年にして参りたいと強く思います。個人と組織の確かな進歩のために確固たる信念をもって何事にも全力で!