第58代理事長所信

第58代理事長 舛元 幸起 

はじめに

新型コロナウイルスの世界的流行は、私たちの生活に大きな変化をもたらした。多くの人々が“新しい生活様式”への移行を余儀なくされ、当たり前の日常が様変わりした。また我々の活動においても、度重なる“まん延防止等重点措置”や“緊急事態宣言”によって対面での接触を伴う活動は制限され、自粛と活動再開を繰り返しコロナに翻弄される日々を過ごした。その様な状況下においても、「今、すべきこと」「自分たちに出来ること」を必死に模索し、思考を止めず、積極的かつ能動的に運動を展開できたことは評価に値するのではないか。

本年度は、これまでの経験を活かし“withコロナ”とどう向き合い対応し、より効果的な運動へとつなげることができるか「真価」を問われる一年となるだろう。  

もはや、コロナを理由に歩みを止めることはできない。先の見えない時代だからこそ、我々が率先して行動に移し前例を塗り替えていかなければならない。その先の未来に対しどう向き合い行動すべきか考え運動を推し進める必要がある。

そこにはまだ見ぬ景色が待っている。共に目指そう!その先へ。

交流を深め連携強化

コロナ過によって交流の形も大きく変化した。オンラインで行うことにより距離的ハードルや時間的拘束も緩和され、容易に交流できるようになり、以前より便利になった。しかし、同時にそれだけでは限界があることにも気づかされ、対面での交流の必要性を強く感じたのも事実である。今、誰もがリアルな交流に飢えているのではないか。感染防止対策に配慮しつつも、対面でしか味わえない交流の「場」を取り戻したい。

JCでは出向という、かけがえのない交流と学びの機会を得ることができる。県内他LOMのメンバーはもとより、日本全国、世界各国の同志とつながることができ、様々な情報や知識を最速で共有できる。また、LOMの垣根を越えた交流から得られる友情は特別なものである。出向先で得た情報や知識、ネットワーク、友情は、自身のみならずLOMメンバーに還元し、次の世代につなげてほしい。

また、庄原には様々なまちづくり団体がある。活動内容に違いはあるが、このまちをより良くしたいという思いは同じではないか。お互いの活動を尊重し合い共存することで相乗効果を図ることができるはずだ。

更には、交流の場を定期的に設け、年間を通じた交流を行うことで、入会候補者へ継続的なアプローチを試みることができる。信頼関係を築き、理解を深め、明るい豊かな社会の実現に向けた「同志」を募ろう。

活力ある組織の構築

我々が行っているJC運動を根幹から支える組織運営は、コロナ過とともに大きく変化し、WEB会議などの導入によりこれまでにない組織の運営が可能となった。今後も、例年通りの運営方法に捉われず、新しい価値観や手法を取り入れ、時代の変化に応じた組織運営に進化させる必要がある。

しかし、まったく無視をして良いわけではない。JCには「型」というものがある。「型が悪いのぉ」そんなフレーズをよく言われてきた。過去の自分は「型」とは何かわからず、ただ体裁「形」を気にして叱られているのだと思っていた。

ある時、「型」とはJCの活動に必要な「基礎」であり、メンバー共通の「行動原則」であるということに気づかされた。

「型があるから型破りなことが出来る。型が無ければ単なる形無しだ」

歌舞伎役者18代目中村勘三郎の言葉である。

この言葉に表されている通り「型=ルールや基本」のもとで、自身のオリジナリティ(個性)を出すのが「型破り」な行動であり、「型」を無視して自分勝手にやるのが「形無し」ということだ。

JCには何十年も積み重ね磨き上げられた基礎があり、その行動原則に乗っ取って活動するから物事がスムーズに執り行われる。先輩方が築き上げてこられた基礎に敬意を払いつつ、時代に合ったものに変化させていくことが未来を切り開く重大な要素ではないか。「型」を理解し、型破りな組織運営で活性化させていく必要がある。活気ある組織を取り戻し、庄原青年会議所の心意気を地域に示していきたい。

存在意義を示して共感へとつなぐ

庄原青年会議所という団体をどれほど市民は認知してくれているだろうか。知らない人がほとんどではないだろうか。また、名前くらいは知っていても、具体的に何をする団体で、今どんなことをしているのかを明確に知る人は少ないのではないか。いくら良い活動や運動を行っていても、知られていなければ存在していないのと同じことだ。市民の認知度を高める為にはあらゆるツールを活用し、効果的な方法で発信し続けなければ市民には届かない。我々の活動を知ってもらい理解してもらう。さらに共感を得て応援者(JCファン)を増やすことが重要だと考える。

それが出来れば、我々が主体となって、市民とともに行政を動かし政治へと働きかけることができるはずだ。市民の共感とともに、青年の新しい目線によって行政と政治を動かせば、必ず地域が発展していく。そうすることで、地域における庄原青年会議所の存在意義が確かなものになり、結果として新たな「同志」を増やすことにもつながるはずである。

個性が輝く次世代育成

次世代を担う若者とは、幅広い世代を示す言葉だと考える。幼少期の子どもたちから、小中高校生、さらには大学生。庄原の経済を担う多くの一般の若者もすべて次世代を担う若者たちと言える。年代における考え方、取り組むべき課題も様々である。  

個性が尊重され、価値観が多様化している時代において効果的なアプローチで庄原の未来を担う次世代育成を行う必要がある。

とりわけ幼少期を庄原で過ごす子どもたちにおいては、コロナ禍で外出自粛が進み、教育体験の機会が激減する中で、子どもたちの社会性の低下が懸念されている。 

小中学生の約86%が「自宅で過ごす時間」が増加していると言われ、「外で遊ぶ時間」が減少していることから、“ふるさと庄原”で過ごす原体験の機会が減少しているのではないか。そんな子どもたちに、心と記憶に残る体験の場を提供し、青少年の健全な育成に取り組みたい。

そして、その他多くの若者たちに関しては、地域に対して希望を見出せないでいるように感じる。進学や就職を控えている高校生には「庄原」に“残りたい”“戻りたい”と思わせる「地域の魅力」を伝え、大学生やその他の若者には地域課題を自分事と捉え当事者意識を醸成し地域のリーダーを育成する必要がある。

そんな若い世代に郷土愛の精神を今一度感じさせられる機会を提供し、輝く個性が調和する未来を実現する必要がある。生まれ故郷を愛し、住み暮らすこの庄原を誇りに思う次世代を育成したい。

持続可能な地域へアップサイクル

自分でも不思議なくらい、この庄原という地域を大切に思うようになった。この青年会議所という団体は本気で自分の住み暮らす地域をよくしたいと思う人間の集まりである。そんな団体で何年も活動していれば意識が変わるのは必然である。すなわち、地域をよくする一番の近道は、ともに活動するメンバーを増やすということだ。   

しかし、それはたやすいことではない。まずは、様々な人を巻き込み、我々の運動に関わってもらい、ともに活動してもらうことでまちづくりの輪を広げたい。

新型コロナウイルスとの共存が必要となった現在、ニューノーマルを意識した行動が求められるようになった。都市部の大企業では軒並みテレワークとなり、出社しないスタイルが常態化し、ワーケーションという言葉に代表される通り、地方の豊かな自然の中で休暇を過ごしながら、仕事もするという新たな働き方が注目されている。  

いま、地方地域の新たな価値に需要が生じている。

最近、「アップサイクル」という言葉を耳にする。「アップサイクル」とは、本来であれば価値を見出せず廃棄してしまうようなものでも、デザインや用途など、新たに付加価値を持たせることで別の新しいものにアップグレードして生まれ変わらせることをいう。放置されている地域資源も一見したら価値のないものかもしれないが、見方を変え新たに価値を与えることで生まれ変わらせることができるのではないか。 

我々のアイデアと工夫でオンリーワンの価値に生まれ変わらせることで地域の活性化に寄与できるはずである。


おわりに

庄原青年会議所に入っていなかったら今の自分はなかった。13年間在籍して素直にそう思う。それほどまでにこのJCという学び舎は自分自身の人生に大きな影響を及ぼしたと言える。

最初は、自分の「成長の為に」なんて思っていなかったし、「ビジネス目的」でもなかった。ましてや「まちづくり」なんて考えてもいなかった。そんな目的意識もなく、漠然と生きていた一人の若者が経験を通して、多くを学び、たくさん失敗することで成長することができたのだと思う。

時には、「なんで自分がこんなことしないといけないのか」「何かを犠牲にしてまでJCをやるべきなのか」そんなことを考えることもしばしばあった。でも答えはその先にちゃんとあり、すべては無駄ではなく意味のあるものだったと今ならわかる。

自らの犠牲もいとわず、損得を考えない無条件の奉仕は、のちに自分自信の“人間としての成長”と“唯一無二の仲間たち”という大きな宝をもたらしてくれた。

「自己の成長なくして、地域の発展はない」そう実感している。

どんなに苦しくとも、自らに限界を作らず、自分至上最高を更新しよう!

その先にはきっと最高の景色が待っていると信じて。