2026年度 第62代理事長所信


はじめに
本年度を迎えるにあたり、昨年は一般社団法人庄原青年会議所創立60周年の節目の年を無事に終えることが出来ましたことを、地域の皆様をはじめ、行政各所、地域各種関係諸団体の皆様、また同志である各地青年会議所の皆様に対し、心より敬意を表するとともに、厚く御礼を申し上げます。そして何より1965年の創立以来、「明るい豊かな社会の実現を」目指し、それぞれの時代で高い志と誇りをもって地域課題と真剣に向き合い運動を起こしてこられた諸先輩方の功績の積み上げで現在の庄原青年会議所があります。心より感謝を申し上げます。
本年は65周年に向けての新たな一歩にあたります。今という時代において、青年会議所という場で活動する意義を改めて見つめ直し、今一度、初心に立ち返り、この組織を、そしてこの地域を、より良いものへと導くために、我々は決して歩みを止めることなく、誇りと責任を胸に全力で邁進してまいります。
未来へと繋ぐ会員増強
青年会議所は、「修練・奉仕・友情」のもと、地域の未来を見据え、行動する青年たちの集まりです。個々が自らを鍛え(修練)、地域のために尽くし(奉仕)、仲間と信頼を深めながら(友情)、共に成長し合うことが私たちの活動の本質です。
このような唯一無二の学びと挑戦の機会が与えられるのは、青年会議所が年齢制限のある限られた時間しか在籍できない組織だからこそです。そして毎年メンバーが役割を持ちながら運営を担っていくことで、組織全体が常に新陳代謝を繰り返し、次なるリーダーが育
ち続けていく、この仕組みこそが、青年会議所の大きな魅力であり、地域にとっても貴重な人財育成の場であると考えます。
私たち庄原青年会議所は、近年20名前後の会員数で活動を続けてきました。少人数であっても地域に対する強い想いや行動力は決して揺らぐことなく、地に足の着いた運動を展開してきました。しかし全国的に進む人口減少の流れの中で、若者の数は年々減少し、それに伴って青年会議所の会員数も全国的に減少傾向にあります。今や少人数での運営は当たり前の光景となりつつある中で、地域に新たな価値を生み出す力そのものが徐々に弱まりつつあることを感じます。
このまま青年会議所という成長と挑戦の場が地域から姿を消せば、若者が自己を高め、社会と向き合い、仲間とつながる機会は失われてしまいます。そうなれば、その影響は個人の成長の場が失われることにとどまらず、やがて地域の未来にも静かに影を落とすことになるでしょう。
だからこそ、私たちは今、次代を担う仲間と出会い、共に歩む姿勢を持ち続けなければなりません。拡大は、単なる数の増加ではありません。地域を想い、未来に責任を持とうとする新たな仲間と出会うための挑戦です。そしてその出会いこそが、運動を未来につなぐ希望の光となります。限られた時間の中で共に過ごし、共に成長し、共に地域を動かしていく、そんな仲間を増やすことが、これからの地域に必要と考えます。
一人ひとりが青年会議所の意義を語れる人財となり、未来のまちづくりを担うために、そして地域に必要とされ続ける青年会議所であるために、組織全体で拡大に取り組んでいきましょう。
主体的に行動できる人財の育成
青年会議所の根幹には、人を育てるという不変の使命があります。地域の未来をつくるのは人であり、志ある人財こそがまちの可能性を広げていきます。
庄原青年会議所は近年、決して多くはない会員数ではありますが、委員会数を減らすことなく、それぞれが責任を持って質の高い事業を展開してきました。これは単なる継続や頑張りだけでは成し得ません。庄原青年会議所で活動する意義を承継し、会員一人ひとりがその本質を理解し、当事者意識を持って行動してきた成果に他なりません。
現在、私たちの会員の過半数以上が入会から3年以下という現状があります。経験が浅いということは、可能性に満ちているという事でもありますが、同時に、理念の承継や行動の質を保ち、さらに高めていくためには、人財を意識的に育てていく仕組みと風土が不可欠です。
青年会議所における当事者意識とは、責任感だけではなく、地域や仲間を思いやり、他者の立場に立って行動する姿勢にこそ表れます。その様な姿勢が、やがて地域からの信頼を生み出し、組織の力へと繋がっていきます。
いくら青年会議所が素晴しい事業をしていても、それを評価するのは地域の皆様です。そして実際に見られているのは、そこで活動する一人ひとりの言動や姿勢です。青年会議所が評価されることも嬉しいことですが、そこで活動する個人として評価される会員が増えていくことこそが、組織の信頼と存在意義を高めていくのだと私は考えます。
地域の未来を担う「要」となるべく、会員一人ひとりが自分ごととして捉え、互いに学び合い、支え合いながら、共に成長していける一年にしていきましょう。
円滑な組織運営と効果的な情報発信による組織力の最大化
青年会議所の活動の土台となるのが、毎月開催される例会です。例会は、会員相互の意見交換や交流、会員としての意識の高揚、そして会員間の連帯感を深めるための重要な機会であり、円滑かつ丁寧に運営していくことが、組織としての一体感と規律を育む第一歩となり、結果として質の高い事業構築へと繋がっていきます。
また、広報活動はこれまでも試行錯誤を重ねてきましたが、今なお庄原青年会議所がどのような団体で、どのような活動をしているのかをよく知らない地域の方は少なくありません。我々がどんな思いで、どんな取り組みを行っているのかを、適切な手法で地域に伝え、共感を得ることができれば、我々が行う事業への参加や一緒に活動してみたいという新たな仲間が現れる可能性も広がります。
日々の活動に真摯に向き合い、基本をおろそかにせず、丁寧に積み重ねていくこと、そして広報の力を生かして我々の思いと活動を地域へ伝播させていくこと、それらの積み重ねこそが、庄原青年会議所の組織力を最大限に高め、地域に必要とされる団体としての存在感を高めていくことに繋がっていきます。基礎的な活動がしっかりできているかどうかが組織の質に大きく関わってくるという意識を持ってしっかりと務めていきましょう。
未来に実る郷土のたねを子ども達へ
地方から都市部への人口流出は依然として続いており、進学や就職を機に地元を離れて都市部へ移り住む若者が後を絶ちません。庄原においても同様の傾向が見られ、地域の将来を担うべき若年層の数は年々減少しています。
一方で、今の子どもたちの暮らしに目を向けてみると、テレビゲームや携帯ゲーム、動画視聴、SNSなど、オンライン上のコンテンツが大きな割合を占めています。これらが悪いわけではありませんが、どこで暮らしていても似たような時間の過ごし方になる中で、庄原らしさや庄原で育つ意味が見えづらくなっているようにも感じます。庄原で生まれ育ちながら、地域の魅力に触れることなく、郷土への愛着を持たずに大人になっていく、そんな現実が、今まさに起きています。
もしも故郷の良さを知らずに育った子供たちが、将来親になったとき、自分の子どもに郷土の魅力を伝えることができるでしょうか。郷土心の不在は、次の世代にも受け継がれない。「知らないから伝えられない」、そんな負の連鎖が続いてしまいます。
庄原で育つことに意味がある、そう胸を張って言える地域でなければなりません。自然と触れ合い、地域の人と関り、挑戦や失敗を通じて学びを得る、そういった原体験こそが、子どもたちの心に郷土のたねをまき、やがて郷土心として芽吹いていくのではないでしょうか。
しかし今、子どもたちを「危険から守ること」ばかりが優先され、体験の場、自由な発想や表現の機会がどんどん失われています。「やってはいけない」「危ないからだめだ」と言い過ぎている場面も少なくありません。学びの幅を狭めてしまっているのは、私たち大人なのではないでしょうか。
進学や就職の選択肢として都市部に出ていくのは自然な流れです。しかし、都会への憧れから地元を離れたすべての若者が、思い描いたような幸せな生活を手にしているわけではありません。だからこそ、「庄原で育ったことが自分の財産だ」と思えるような原体験を、子どもたちに届けていく必要があるのです。
我々は子供たちの未来に向けて、今この郷土のたねをまかなければなりません。そのたねは、いつの日か、郷土への誇りや責任感という花を咲かせてくれると信じています。
持続可能な地域社会の創造
現在、庄原市は深刻な人口減少の渦中にあります。この流れが止まる見込みはなく、今後ますます進行していくことは避けられない現実です。このような時代にあって、私たちはこれからの「庄原をどう持続可能な地域としていくか」を真剣に考える必要があります。
地域を創るのは、行政機関や公職者だけではありません。日々この地域で暮らしている私たち市民一人ひとりの意識と行動こそが、地域の未来を形づくるのではないでしょうか。だからこそ、市民が地域の課題を自分事としてとらえ、自ら考え、動いていくことが何よりも大切です。
地域内での人と人とのつながりは以前に比べ徐々に薄れてきているように感じます。便利さと引き換えに、支え合いや共に悩む機会が減ってしまったようにも感じられます。だからこそ今あらためて、人と人、行政や各種団体とのつながりを大切にし、「この地域は自分たちが創っている」という意識を少しずつ育みながら、地域全体の前向きな機運を高めていくことが大切だと感じています。
地域社会が直面する課題は、歴史や文化、風土、そして人々の暮らしの積み重ねの中に生まれてきたものです。だからこそ、画一的な答えではなく、その土地の個性を踏まえた視点が求められます。私たちはこれまでも地域の実情を見つめながら多くの事業を展開して参りました。これからもその姿勢を変えることなく取り組んでいきますが、それらの活動に共感していただき、地域の方々と共により良い地域を創っていく輪を広げていくことこそが、これからの時代に必要なことではないでしょうか。ともに汗を流し、ともに語り合いながら、持続可能な庄原の未来を築いていきましょう。
おわりに
私は中学卒業以来24年間、建築の仕事に携わってきました。建築物は複数の部材を繋ぎ合わせてできています。その際、職人は木の素性を見極め、適した役割を与え、ふさわしい継ぎ方で繋げます。その「繋ぎ」に込められた職人の思いこそが建物の「要」となり、長い年月にわたり形を保ち続けるのです。
現代では機械化が進み、多くの作業が効率化されています。しかし、機械には部材一つひとつの特性を見抜き、最適な役割や継ぎ方を選定することはできません。日本の歴史的建造物が何百年もの時を経てもなお姿を残しているのは、職人の思いが「要」として建物を支え続けているからだといえます。
この「要」という役割は、まちづくりにも通じると考えます。そこに思いを持ち、人を巻き込み、人と人を繋ぎ合わせて強固にしていく存在が必要です。その思いを込めて、スローガンに「要」を掲げました。
月日の流れとともに私も庄原青年会議所に入会して10年目を迎えました。入会前は青年会議所が、どの様なところなのかも分からず「行ってみないと分からないから、とりあえず入会してみよう」から始まりました。入会して2年目から3年間は自分の中で優先すべきことに専念し青年会議所の活動から一歩引く道を選択しました。そして結果として目標に至った後、再び青年会議所の活動に戻ることができました。大切なのは、物事に優先順位をつけ、目的意識を持ち、真剣に取り組むこと。それこそが、自分にとっての充実した時間とすることができるのだと感じています。そして何より、当時の私の選択を受け止め、理解を示してくださった先輩方や仲間がいたからこそ、今に至るまで歩み続けることができたのだと思います。人の思いを汲み取ろうとする気持ちや、出会った人、友人、家族、すべての人を大切にしようとする気持ちこそが、世の中を少しずつでも良い方向へと動かしていくのではないでしょうか。
また、何かに挑戦するとき、私たちはつい「できない理由」を探してしまいがちです。しかし本当に大切なのは、自分の気持ちに正直に「やった方が良い」と思ったことに一歩を踏み出す勇気だと思います。できない理由ばかりが先に立ち、挑戦を避けることが当たり前になってしまえば、そこからは何も生まれません。行動の先にこそ、変化と成長があるのではないでしょうか。
互いの思いを尊重しながら、一人ひとりが主体性を持って挑戦をし続け、青年会議所という場を通じて、仲間とともに、地域とともに、次代へとつながる一歩を踏み出していきましょう。

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
平素は一般社団法人庄原青年会議所に格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
2026年度第62代理事長を務めさせていただきます、藤原直也と申します。
本年度はスローガンに「要」を掲げ、仲間を繋ぎ、地域を繋ぎ、未来を繋げる存在でありたいとの思いを込め、地域 と真摯に向き合って参ります。
会員一人ひとりが当事者意識を持って行動し、挑戦を通じて自らを高めながら、その成長を地域への行動として還元できるよう取り組んで参ります。
庄原の持続可能な未来のため、全力で邁進して参りますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
